3人が本棚に入れています
本棚に追加
理科室からマッチをくすねて戻ってきても、煙草の葉はそのままだった。
自分は何故こんな夢を見たのか。現実の彼女も穢れているのか。自分はこれ程までに盲目だったというのか。何処かでそれに気付いていたのか。問えば問う程この夢から覚めたくなくなる。しかしまた、それも洗脳なのだろう。何も変わらない。
マッチを擦る。ぼうっと出た炎は今にも沈む夕陽によく似ていた。ぱっと放って、ぽとりと落ちて、煙草の葉はよく燃えた。
蔓延する匂いすら君、と受け入れてしまう自分が居る。目を閉じると直ぐに、此処から現実へ落ちていくのが分かる様であった。
最初のコメントを投稿しよう!