檸檬

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 吐き出した。 なんだこれは。滅茶苦茶な味がする。手から滑り落ちた檸檬(れもん)は、嘘のようにぐしゃりと潰れた。中からは茶色の何かがボロボロと(こぼ)れてくる。口の中に残ったものを吐き出してみると、煙草(たばこ)の葉だった。いつの間にか周りの檸檬(れもん)無残(むざん)に腐り落ち、煙草(たばこ)の葉が(またた)く間に床に()い出てきて、風に(うごめ)いた。その時、浮かされた頭でもやっと気付くことが出来たのだ。これは夢だ、と。 ゆっくりと、夢から、覚めていくのを、貧血の(ごと)く、ひしひし、と、感じる。 また色々な事を(さと)った。恋は盲目(もうもく)。恋は幻想。恋は洗脳。…嗚呼(ああ)virginity(処女性)なぞこの世にあるものか。 …
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