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幼い頃から哲学的にものを見る癖がついたさくらは、一人で思考を巡らす作業は得意であり、小学、中学と順調に優秀な生徒として進級した。歴史上の人物や山や川の名前、世界中の気候や風土、美術や音楽、保健体育などのあらゆる知識をノートに綺麗にまとめあげ、その後にぼんやりと、鮮やかな蛍光ペンやボールペンで彩りまとめ上げた知識の集合体を眺めあげるのがさくらの趣味の一つであった。算数や国語や理科などの頭を使う科目に関しても、先生に言われたドリルをコツコツと仕上げ自分で赤丸をして、花丸に蝶々をつける豪華な採点をノートに施し、先生に提出してニコニコマークのハンコをもらうことが、さくらの生きがいであり彼女なりの「美しい生活」なのであった。仲のいい友達は数人おり、幼い少女がもつ哲学的な考え(私はどこから生まれてきたんだろう、とか、どうしてお金持ちと貧乏な人がいるんだろう、とか)はこっそりと胸にしまって、社交面の自分を、明るくて面白くてまともな、きっちりとした、真面目な人間に作り上げていった。すでにこの頃から、内面と外面を使い分けるというやり方を身につけているのだった。
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