貴方・・・そうね

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 神山 健児(かみやま けんじ)は細い山道を黙々と登っていた。  まだ日中だとゆうのに、紅に染まる木々に覆われた山道は、夕暮れ時のように薄暗い。 「ふう」    幼少の頃より武術の鍛錬に励み、人並み以上の体力を持つ健児ですら、思わず立ち止まり息を吐くほど、勾配は急で足元は悪かった。  晩秋に吹く肌寒い風が、今はむしろ心地かった。  バスを降り山に入ってから、かれこれ2時間ほどが過ぎた頃、木々の中に小さなトンネルを見つけた。  トンネルと言っても、大昔の坑道のように土留めに木の板を使用した、そのうちに崩れて塞がりそうな代物である。   「距離は・・・20メートルくらい、かな?」  流石にトンネルに入ってよいものか躊躇われたが、向こう側に見える明かりから、5秒もあれば走り抜けることも可能だとわかり、意を決して歩を進めた。      
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