貴方・・・そうね

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 沈黙のまま30分ほど歩いたころ、気がつくと健児の前には大きな黒い鉄の門扉が威厳をまとい立ち塞がっていた。   「あの〜・・・沙耶さん」    健児が沙耶の名を呼び終わらぬ内に、門扉は軋みながら、重々しく左右に開き始めた。 「無駄口は叩かないで。親方様に聞かれたことだけ答えなさい」  振り返らずにそれだけ告げると沙耶は再び迷いなくスタスタと歩きだした。健児も大人しく彼女に従ってついて行く。彼女の言葉には拒絶も質問も許さない冷徹な響きがあった。  程なく立派な洋館の玄関にたどり着く。短い階段を上り玄関扉の前まで来ると、門扉と同じく玄関扉も左右に開いて、沙耶たちを招きいれた。  玄関ロビー中央まで進み入ると、沙耶は片膝をついて頭を下げた。一方健児は沙耶の後ろでキョロキョロと辺りを見回している。大きさ広さはかなりの物だが、内装や調度品などは質素な物でいささか拍子抜けした。    
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