3人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
「純子さぁ、そんなに好きなら告っちゃえばいいのに」
思わずミルクティーを吹き出しそうになった。
「バ、バカなこと言わないでよ」
公恵はそんな私を余所目に目の前に出てきたデラックスパフェに色々な角度でスマホを向けていた。
「まぁねー、相手はあの超人気者の土屋尚之君だもんね」
「そうだよ、私が告った所で粉砕されて終わりだよ」
さんざん写真を撮った公恵がやっとパフェに手をつけた。私も彼女のパフェに刺さっているポッキーを抜き取り、それでアイスをすくって食べた。
冷たくて甘い、一口食べると更にすくって食べたくなる。何故人気が出るのかが分かった。
告白が成功すれば私の残り約二年の高校生活は華やかなものになるだろう。だが失敗すればもう学校に来れない程に落ち込んでしまう、「友達でいよう」などと言われても今まで通りの関係には戻れない、意識しすぎて戻れるわけがない。それは残りの高校生活の終わりを意味した。
「でも、このままでいいの? ほら、ノートのこととか、純子さ、嫌なことは嫌って、言ったほうがいいよ」
「いや、そうなんだけどね、でもまあ、あれはあれでいいって言うか……」
「本当にいいのー? うわっコレうまっ」
彼女はそれ以上言わなかった。
あまり私に強制しないのが公恵だ、彼女は私の断れない性格をよく知っている。私のことを思って言ってくれているのはわかる、でも好きな人からの頼みを断れるわけがない、たとえそれが彼の為にならなくても……
家に帰ると直ぐに塾の支度をして家を出る。塾が終わると、寄り道をせずに真っ直ぐ家に帰る、途中にあるマクドナルドの明るい看板が、私を誘惑してくるが、負ける訳にはいかない。なぜならこれから予習、復習を終わらせた後、まだ仕事が残っているからだ。
最初のコメントを投稿しよう!