消えた雪だるま

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 美穂と明美がサングリアとピザを楽しんだ翌朝のテレビ番組に速報で、〈行方不明の男が病院近くの駐車場の雪の中から遺体で発見〉と伝えられた。  報道によると、行方不明の男を殺害したとみられるのは、事件現場近くの病院に勤務する看護師で、婚約を解消されたことに腹を立ててやったと供述しているとのこと。 「明美ちゃん、テレビ見た?」 「まさか、あの病院の看護師が犯人だなんてね」 「ほんとだよ。うちが甥のお見舞いに行った時にもいた人だったよ。なんだか、人間不信になりそう......」 「人間、外見だけでは判断できない。それぞれ密かに内側に秘密をもっているものよ」 「確かにね。今回の消えた雪だるま事件で身にしみたよ。  加害者の看護師の人も、女の子を襲いに病室にいったら、まさか布団から屈強な警察の男が出てくるなんて思わなかっただろうね。  流石、明美ちゃんのアイデアだよ!」  少しの間の後、美穂は続けた。 「それにしても、内側に秘密をもっているなんて、過去になにかあったの? 言葉に重みを感じたよ」 「そう? 別に大したことは言ってないわ。ただ、頭に言葉が浮かんだだけ」 「明美ちゃんって、たまに陰りを感じさせるようなことを言うよね。それとも、わざとかっこつけて言っているの?」  美穂は冗談交じりで明美に訊いた。 「さあ? どっちだろうね」 「もう、はぐらかしてさ。  はあぁ、眠い。うち、もう寝ようかな」 「事情聴取が長かったもんね。今は朝の4時半か。  てか、もう寝ようって、美穂ちゃん、ゼミの課題はやったの? あれは今日の午前11時までに先生に提出しないとダメじゃなかったっけ? わたしは昨日飲む前にやったよ」 「あっ、そうだった。忘れてた。どうしよう、今日の朝早くに大学に行ってやろうと思っていたのに」 「オチもついたし、わたしもそろそろ、寝落ちさせてもらいますね」 「ちょっと、明美ちゃん。待っ」 ......。 スマホの通話が切れた。
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