消えた雪だるま

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 一面が銀世界......だった。  クリスマスを控え、道路には2~3cmの雪が積もっていた。積雪量は多くもなく、少なくもなく、大人が鑑賞用に雪を楽しむ分にはちょうどいいくらいだ。  つい、3日前には大人のひざ下に届くか届かないかくらいの30cm程度の雪が積もった。大人たちは雪かきをしないといけないので、やれやれとした表情をみせる一方、子どもたちは初雪に喜び、雪遊びに夢中になった。  大学の講義が終わり、夕方の5時からイタリアン居酒屋で赤のサングリアを片手に、美穂と明美は2人だけの女子会を楽しんでいた。さっきまで、授業やゼミのレポートを話をしていたが、一通り話が終わると、美穂は話題を切り替えた。 「そういえば、ニュース見た明美ちゃん? うちの地元で行方不明者が出ているんだって。普通に怖いんだけど」  美穂は不安な表情で明美を見た。 「うん、見たよ」 明美は顔色を変えずに答えた。 「うん、見たよって、明美ちゃん怖くないの?」 「えっ? まあ、少しは怖いけど、行方不明者なんて珍しくともなんともないしなぁ。警視庁によると、日本の人口は1億2千万人で、毎年の行方不明者は8万人いるみたいだし」  明美はサングリアを飲みながら淡々と美穂に言った。 「えっ、そんなにいるの? 知らなかったよ。でも、まさか、うちの地元で起きるなんて信じられない」  美穂は不安を吐き出すかのように言い、話を続けた。 「行方不明者も気になるんだけど、ここからが話したかったことなんだ。なんと、甥の雪だるまも行方不明になったんだ」 「雪だるまが行方不明? いなくなったってことだよね? 溶けたんじゃなくて?」 「こらこら、明美ちゃん。話をはぐらかさないでよ。確かに今は、雪の量が落ち着いてきたけど、3日前に降った雪が溶けるほどの気温ではないじゃない? 話があるのよ。聞いてくれない?」 「まあ、話題を提供してもらうとありがたいからね。どうぞ」 「ありがとう。それじゃ、それじゃ、説明させてもらうね」  美穂はコホンと咳払いをすると話し始めた。
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