僕と先輩

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「あゆ〜! 探したよ〜!」 「……どうして追いかけてくるんですか!?」 クズ先輩は男子校にいることが勿体ないくらいのイケメンで、他校の女子や女性教師から人気がある。 そんな彼と、僕みたいな陰キャが関わるなんてありえない。 その前に、僕はこんな陽キャに付き合う気なんて、まっったくないけど。 「俺はあゆと仲良くなりたいんだけど、ダメ?」 「は?」 馬鹿なの? コイツ。 意味がわからない。 「間に合ってます」 「ちょっと、待ってよ」 グイッと腕を掴まれた。 振りほどくのも面倒で、立ち止まって彼を睨む。 「そういう顔してるあゆも、可愛いね」 背筋がゾワッとする。気持ち悪い。 笑顔で何言ってんの…? 「離せよ」 いつもより低い声で、そしてさっきよりも鋭く彼を見る。 「あはは、ごめん」 僕に絡んでくる理由を、知りたいような、知りたくないような…… やっぱり、知りたくない。 僕に利益がないことは確かだから。
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