僕と先輩

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「歩夢。お待たせ」 衣装は僕の姉さんの物を。 メイクは1つ上の幼馴染で、同じ高校に通う 真紀(まき)くんが担当してくれることになった。 真紀くんは僕の姉さんの影響もあって、男の子だけどメイクがすごく上手。 今日は僕の家で、姉さんと真紀くんが衣装決めとメイク、立ち振る舞いの指導をしてくれる。 やるからには本気で。 クラスのヤツらを見返してやりたいから。 「んー、歩夢はこっちの衣装のほうが映えるかも」 「それなら、メイクは甘めがいいかな?」 「そうだね。じゃあ、私は出かけるから。頑張って」 「ありがとう、姉さん」 姉さんが選んでくれたふわふわなワンピースを着て、黒髪ロングのウィッグを被る。 真紀くんが真剣な表情で、僕を化かしていく。 「真紀くん」 「んー?」 「クズっていう人知ってる?」 「あー、あのイケメンのクズ?」 「そう、クズ」 「歩夢の“クズ”は名前のほうじゃないよな?」 「どうだろうね」 やっぱり、知ってるんだ。 当たり前か。真紀くんはクズと同じ学年だし。 もしかして…… 「葛生(くず)がどうかした?」 「……友達?」 「うん」 「僕のこと話したり…」 「たまに」 真紀くんのバカ! そのせいで、僕はクズに目をつけられて……
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