僕と先輩

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「悪いやつではないよ」 「僕、絡まれてるんだけど」 「まじ!?」 「まじです」 「なんかごめん」 真紀くんは申し訳なさそうに俯いた。 「別に、いいけどさ。なんで僕のこと話したの?」 「……だって、オレの趣味を知ってるのは葛生だけだし……歩夢に協力してもらってるって話をしただけだよ」 真紀くんは時々、「メイクの練習させて」と僕のところへ来る。 そしてそのまま一緒に出かけることもある。 「僕のクラス教えた?」 「教えてないよ。同じ学校ってことは言ったけど」 必死になって僕のことを聞いてまわる クズ先輩を想像してみる。 ……納得。 「…はい、できた!」 鏡を見ると、女の子に化けた顔が写った。 この顔で学校に行ったら、確実に言い寄られるな。 全員振って嘲笑いたい。 「今日も完璧だね、真紀くん」 「本番はもっと可愛くしてあげる」 「うん、ありがとう。楽しみ」 もう一度鏡で自分の顔を見る。 「歩夢? どうした?」 「なんでもない」 危ない。 思わず口元が緩んでしまった。 「…楽しみだ」 クズ先輩がどんな顔をするか。
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