第4章「バケモノ」と呼ばれて

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何故いつかさんが「バケモノ」と呼ばれるようになったのか? その真相を確かめるべく、私はさらに彼女の中の奥深くに眠る記憶を深掘りした。 『……なるほど、そういう事か』 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 拝啓 初冬の候 (たちばな)教授ご夫妻におかれましては益々ご清栄の事と心よりお慶び申し上げます。 さて、大変恐縮ではございますが堅苦しい挨拶はこのくらいにして本題に移らせていただきます。 当初の目的とは裏腹にどうやら最初に覚醒したのはいつかさんのようです。 一花(いちか)さん、二三(ふみ)さんにはまだその片鱗(へんりん)すら見受けられません。 何故(なにゆえ)貴方(橘教授)は貴方の愛する我が子たちにあの様な(むご)い事をされたのでしょうか? とても理解に苦しんでなりません。 しかしながら、助手としてその行為を止められなかった私自身にも責任があると思っております。 今から申し上げることがあの娘たちに対し決して罪滅ぼしや(ゆる)されるようなことになるとは思いませんが、貴方(橘教授)の代わりに私があの()たちの行く末を見守っていく所存でございます。 最後に。 もしも、あの()たちに何かしらの変化、並びに異変が見受けられる様であれば、その都度報告させていただきます。 敬具 平成十七年一月十五日 千樹
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