お義母さまと私

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 無神論者なので、どの神様に懺悔すればいいのか分からない。  いつのまにか眠り込んでいた。西日が差していたはずの部屋が暗くなっている。  午後七時。枕元に置いていたアップルのスマホが軽やかに鳴る。ユウから届いたLINEの文字を見た瞬間、心臓が止まりそうになった。 『ママ、駄目じゃーん。ツナの缶詰と猫缶を間違えてるよ。疲れているんだね。おばぁちゃん、猫缶のサンドイッチのことエッセイに書くって言ってるよ』  しまった。ついに、悪事がバレてしまったのか……。愛する夫に裏の顔を知られてしまう。それは困る。頭を抱えて嘆いていると、階下を挟んだ居間から瑤子の陽気な笑い声が聞えてきた。 「やーねぇー。菊枝さんたら、お馬鹿さんね」 「そう言えば、昔、海外でパトカーとタクシーを間違えてパトカーに乗ろうとした事があったよね。あたし五歳だったけど覚えてるよ」  やめてよ。その話を蒸し返さないで! 「ママって可愛いわ。まじで天然だよね」  菊枝は、朦朧としながら遠いところを見るような眼差しなっていた。  肩と腕が折れたかのように痛い。苦労して身体を捻り寝返りを打ちながらも、悪魔に蹴られたような痛みに悶絶する。ぴえーんと泣きたくなる。ああ、やばい。情緒が乱気流に巻き込まれて揺れ動いている。  遥子への殺意は崩れ落ちていたというのに、またしてもムカムカしてきた。ああ、もう止まらない。訳もなく気持ちがざわめいて泣きたくなってきた。  でも、今は、色々な事を飲み込むことにする。                                                         おわり  
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