お義母さまと私

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「図書館で、黒川が、エルのことキモイって馬鹿にしたから、おばぁちゃんか、ぶち切れて黒川に暴力をふるったの」  ユウも、その瞬間の遥子の怒りの波に同調するように声を尖らせている。  それにしても、エルが自殺しようとした事があったなんて……。  そう言えば、あの時、遥子は睡眠薬を常用していた。でも、遥子の場合、ハワイから帰ってきて時差ボケが治らないからという理由だったが、すぐに飲まなくなった。それを大量に飲んでエルは死のうとしたらしい。 「ソラ君のこと、よほど好きだったのね」   ああ、ボーイズラブだわ。いいえ。それとも、ブロマンスってやつかしら。  物語の世界は男同士の愛に溢れているが現実は甘くない。菊枝だって女友達に告白されたら面食らう。偏見や嘲り気持ちがなくても距離を置きたくなる。  きっと、ソラ君も深く悩んだに違いない。  でも、黒川、てめぇはマジで殺す! 歯を引っこ抜いて、脳みそに伯方の塩をぶっかけて滅してやる。  菊枝の目に涙がジワジワと溢れていく。しかし、ユウは少しうんざりしたように言う。 「ママ、そうやってすぐに泣くよね。メンタル弱いよね。そんなんじゃ相談しても頼りにならないよ。おばぁちゃん、図書館事件の後、黒川と直接会って買収しちゃったよ。おばぁちゃんと同じ事務所にいる人気女性声優の声が入った目覚まし時計を渡したんだって」  驚いた事に、その特製目ざましの声の内容はこうだ。 『おはよう。お友達の悪口を言うような子は許さないぞ。リリカ、優しい男の子が好きだぞ。黒川っち。いい子になぁれ! リリカルマジック、ルルルンパッ』  なんという分かりやすいメッセージなんだ。  
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