お義母さまと私

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ユウが、フアッと柔らかな笑みを浮かべている。 「我が家は破天荒なおばぁちゃんと小市民の鑑みたいなママのおかげでバランスが取れてるんだね。あたし、ママのこと好きだよ」  娘は気紛れな猫のようなところがある。誰に対しても甘え上手だ。何なの、その上目遣いは。おねだりなら遥子にすればいい。  菊枝は、いささか警戒気味に問い返す。 「何なの」 「だってー。みんな、羨ましいって言ってるよ。ママの作るキャラ弁、すんごく可愛いもん。ピーチパイやフィナンシェも焼いてくれるし、いつもママのこと自慢してたんだ。中学の頃、ママ、パートに出たいって言ったことあったよね。あの時、邪魔してごめんね」 「えっ?」 「おばぁちゃんに頼んだの。パートに出ないようにして欲しかったの。おばぁちゃん、締め切り前で忙しいのにギックリ腰の演技をしてくれたんだよ。さすが、おばぁちゃん。検査中に病院で見た光景をエッセイにしたの。作家って大変だよね。おばぁちゃん、いつも言ってるよ。生まれ変わったら専業主婦になりたいって」  ムカついたので盛大に絶叫してやる。 「主婦は大変なのよ! 休む暇なんてないのよ! 二十四時間、家族に振り回されているのよ! 五十肩で苛々しているのに、みんな分かってくれないじゃないの!」
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