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「なぁ睦……お前、なんかやつれてない?」
「へ? そ~ぉ……?」
練習場のベンチの上で体育座りして、背中を丸めながらちびちびとコーヒーを啜る俺に、大学の友達が苦笑いで話し掛けてくる。
あれから3日。
響が、電話に出てくれない。
それどころから、メッセージも既読スルー。
一言「あれは俺のじゃない! 俺は見てない!」って、言いたいだけなのに……
あぁ、胃が痛い。
ブラックなんて止めときゃよかった。
そうだ、ホットイチゴミルクが飲みたい。甘っっ々の甘ったるいやつ!
……はぁ。
今の俺、身も心も、糖分が足りない。
本当なら、今夜は響を誘って、年越し初詣でも行こうかと思ってたのに。
悲しいかな、大晦日の夜に男だらけのサッカーサークルでオールナイト試合中……
「つうか、睦の彼女もさ、AV見つけたくらいで大袈裟じゃねぇ? 男なら誰でも持ってるっしょ」
「響はそーゆーの免疫ないんだよ。俺が初彼氏らしいし……多分、めちゃめちゃショックだったんだと思う」
友達にそう返しながら、自分が情けなくなってくる。
いくらアレが俺のじゃ無かったとしても、
いくらアレが男たるもの一度は目にするものだとしても。
純粋無垢な汚れなき響に、俺はなんてもんを……
―――響、怒ってる?
それとも…………俺に幻滅した?
やばい、マジで気持ちが落ちてくる。
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