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「ママが小さい頃、ママのママのママから聞いた話よ。」
今は亡き この子の曾祖母から聞いた話だ。
「ママたちが住む場所から、遠くはなれた場所に、もう一つの世界があって、そこにはおそろしいバケモノがすんでいるのよ。」
「どんなバケモノなの!?」
息子は目を輝かせている。しまった、余計眠りを妨げてしまうか・・・
「その姿をみたひとは、だれもいないの。でも、もしバケモノに見つかったら・・・」
「みつかったら・・・?」
「何百倍もの力で捕まえられて、あっという間に食べられてしまうの・・・」
「えっ・・・」
息子は布団で顔を覆う。
「もう終わりにする?」
「ううん。つづけて。」
息子は怖いもの見たさだ。
「そのバケモノは 不思議な力をもっているの。
でもね、一匹だけじゃ、その力はない。
何匹も 何匹も 重なって どんどん大きくなって・・・どんなことでもできてしまうわ。
時には 見たこともない道具をつかって おそってくるの。
バケモノから逃げることは・・・できない。」
「・・・ひぇ・・・。」
「それにね。バケモノは どんなものにでも変身することができる。
最初はとっても優しい人のふりをして近づいてきて・・・油断をした瞬間に、パクリ。
どれだけ食べてもお腹は満たされなくて・・・どんどん食べていくの。」
「こわい・・・」
「ムシャムシャムシャムシャ食べていって・・・無くなったら・・・新しいえものを探すのよ・・・特に・・・力の弱い人とか・・・子どもとか・・・」
「きゃぁぁっ!!」
「大丈夫。いい子にしていれば、こっちの世界には来ないから。」
息子は布団から小さく顔を出す。
どうやら限界のようだ。
「ママ・・・ぼく、あしたからピーマンとにんじん のこさないでたべるよ・・・。」
「そうね。強い子になれば、きっとバケモノに勝つわよ。さぁ、いい子はもう寝る時間よ。」
「はーい。」
息子はすぐに寝息をかきはじめた。
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