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花田綾
おばさんの夫と何故だか住むことになった。
しかも同い年だから、なんかどうしたらいいのかわからない。
「やぁ、綾くん」
その同い年の夫、優くんは既に起きていて、出かけようとしていた。
「今から仕事ですか?」
「そーですとも!朝っぱらからとかーまじきついっての」
同い年なのに、なんかそんな感じがしない。それは身長が異様に高いからなのか?
「てゆーかさ、綾くんは彼女いないの?」
「え、いないですよ!」
「なんで動揺してんの?」
「仕事、遅れますよ!」
「教えてくれてもいいじゃん!けちだなぁ~」
どうやら優くんは恋バナがしたいようだ。でも、教えるつもりはない。
学校行って帰ってきても、夜になっても優くんは帰ってこなかった。
よく働くなぁ…。コンビニだったっけ?
俺はというと、ライブハウスへ向かった。
受付にはバンドのリーダー、憲緒さんがいた。
「よ!綾!待ってたぞー」
「え、なんですか?」
「お前にお願いがあってー」
「え、お金はちょっと…」
いくら憲緒さんでも、それは無理なお願いだ。
「バカ、違うし。俺の趣味でやってるかる~いバンド知ってるだろ?」
「あー、たまーにやってるあれですか?」
何度か見たことがある。忘れたけど。
「そうそう。俺の彼女もいるバンドでね?ちょっとさー、バンドの音のバランスとか気になってさ?綾、聴いてくれるか?」
「そんなの録音して、憲緒さんが自分で聴いた方がいいと思いますよ?」
「そーなんだけどな?俺はここのサウンド聞きなれすぎてさー、ま、こんなもんかーってなっちゃってさ!客観的に見てもらいたいんだよね」
「いいですけど。でも俺素人ですよ?」
「綾は才能あるから、聞いて欲しいんだ」
「はぁ」
憲緒さんは、ちゃんとしたミュージシャンなのに、どうして謙遜するんだろう。
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