稲賀明美

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「ただいま」 「明美、遅かったわね。どこいってたの?」 時刻は20時前。 「お父さんのとこ。ちょうど天人くんも来たから、ゆっくりしてたの」 「そう」 「ねぇ、天人くん1人じゃ可哀想だよ?一緒にまた住もうよ、ね?ママ」 「明美。いい大人なんだから、自立させないとだめでしょ」 やっぱりだめだった。 それはママが一緒にいるのが嫌なだけなのに。お父さんの弟だけど、なかなか医者になれない天人くんを嫌うんだ。 「そうだ、明美。塾で模試受けたんでしょ?どうだったの?」 「大丈夫。ほとんど満点だから…」 「そう、なら薬学部に入れそうね。よかった」 …ママは私に店を継がせようとしてる。お父さんの薬局。 私は、なんの魅力も感じてないし全然やる気もないんだけど。…期待されてる。 でも、期待に応えたいとは思えない。 でもママの理想ではありたい。 だから、私は…ママの実家の、細川グループの役員とかですごい偉い人になりたい。私はママよりすごいんだよ?っていうのを見せたい。だってママは細川グループで働いてないじゃない。だめだったんでしょ?
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