早川悟流

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「綾、お前とはもう夜道を歩けない」 「え、どういうことですか?」 先に来て練習していた綾はきょとんとした。 「綾と歩いてただけで、彼女が出来たと思われたんですけど」 「あ、すみません。彼女に申し訳ないです」 「は?彼女いねーし!」 「あ、すみません」 「綾は?いるんじゃないの?」 「い、いえ。全く、全然構いません」 「なんだよ、いるのかよ」 「い、いや、別に」 しどろもどろする綾。ばればれだぞ。 「いるんじゃん!どんな子?学校同じ?」 「いや、それは…」 「うわー、秘密にしたいのかよ」 「よー!早川!早いじゃねーか!」 元気よく入って来たのはバンドリーダーだ。 「憲緒さん、こいつやっぱり彼女いるみたいです」 「えー!まじー?どこのどんな子?」 「や、あの」 「教えてくれてもいーじゃん!綾くーん」 ふん。綾に仕返しだ。男と歩いてても付き合ってると思われるとか、どんだけ浮いた話ないんだよ、俺。 「よーっす!」 次に入ってきたのはベース弾いてる大バカものでうるさい人。 「トラさん。綾に彼女いますよ」 「なにぃー!お前、その子の友達紹介しろ!」 「え、トラさんにだけは教えたくないです」 急に大人になる綾。お前、彼女いること認めてるも同然なんすけど。 「だけはってなんだよ綾、お前俺のこと嫌いなのか?酷くね?」 「トラさんには彼女いるじゃないですか!」 ライブ終わりにそういえば一緒に帰ってたな。 「そいつは彼女ではねーんだよ。本命を探してんだぞー?」 「…綾、トラさんに紹介しないほうがいい」 「おい、早川!なーに言ってんだ!」 あーめんどくさい。 この人頭悪いし。イラつくんだよね。
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