花田綾

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「よーよー!こんなん連れてきたぞー!」 予定していた練習室じゃないところに無理やり連れていかれた。 「は?誰そいつ」 その部屋にいたのは高校生くらいの女子。と他にも女子がいる。練習していてこちらには気がついていないようだ。 「芹亞(せりあ)、こいつは俺のバンドでボーカルやってるアヤってゆーやつだ。俺たちの曲をじっくり聴きたいって。な、アヤ!」 「え、はい?」 違うんだけど…。 「てゆーかぁ、この人高校生っぽくない?」 「そうだなぁ、確かアヤは高校生だよな?」 「高3ですけど」 「は?高3でバンドやってんの?なにしてんのこの人。受験はどーすんのよ!」 あなたも高校生に見えますけど?その態度はなんなんだ。 「受けますけど」 「うっわ、この人絶対バカだね」 「まぁまぁ、芹亞落ち着いて」 「ふーん、憲緒に無理やり連れて来られたわけねぇ~僕」 いきなりしゃべりかけてきたのは、さっきまで練習していた金髪の人。あ、確かこの人もミュージシャンでバックバンドやってる…確か憲緒さんのお姉さん。なんとなく怖くててびくびくしていると、にっこりと笑った。 「アヤ、思ったことは憲緒だけに言えよ?」 え?どういうことなんだろう?俺の名前知ってるみたいだし…。そのまま練習に戻ってしまった。 …ふと気づいたのだが、後ろでベースを弾いてる人がいた。お世辞でも上手いとは言えない演奏だ。 この人に言うなってことなのか? 「あ、そういえば憲緒さんの彼女って、ボーカルの方でしたよね?」 「そうそう、羨ましいっしょ?」 「は?彼女じゃねーし」 ものすごい嫌そうな顔してるけど…あ、この人がボーカルか。 「芹亞、なんでまたそんなことを?」 「だから彼女じゃねーし!」 なんか、ものすごく偉そう…。 「よっしゃ、アヤ!早速あたし達の演奏聞かせてやるからな?ほら、芹亞スタンバイ」 元気なのは憲緒さんのお姉さん。リーダーなのかな? 「かのこさーん、まじかっけーっす!」 「(さつき)もスタンバイ!」 「なんでこんなガキに演奏してやんなきゃなんないわけ?」 さっきのベースの人がしゃべった。俺の存在気づいてたのに無視してたのか。 「ま、まぁまぁ皐さん!アヤはまだ新人なんで…!」 憲緒さんよりこの人は年上なのだろう。 そして、一通り演奏してもらった。 ギターとドラムのサウンドはいいと思った。でも、ボーカルはただ叫ぶというか。鬱憤でも溜まってるような感じがした。あと、ベース。 これは、ひどい。
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