早川悟流

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「やっほーう!早川。憲緒は?」 練習に早目に来ていたら、柴田(しばた)さんがやってきた。黒髪でロン毛でテンション高い、たまにしか来ない人。 「え、受け付けしてるかもしれないです」 「まじでぇ~。なんのために来てやってると思ってんだよ!」 威圧感のある人だ。柴田さんって、人を寄せ付けないオーラがある。 「お疲れ様です」 ドアが開いたけど、そこには金髪ロン毛の綾がいた。 「あっれー?憲緒じゃねーじゃーん!綾、俺とデュエットでもしよーか?」 「え、あの?」 状況を飲み込めてない綾と、無理やり肩を組んだ柴田さん。 「いいじゃん!早川がギター弾けばできるだろ?」 「…ほら、ギターあるし。綾も弾けば?」 「え、はい…何にしましょう」 いきなりセッションする。この柴田さんの歌はうまい。性格さえよければ、綾が入る前に入れていた。が、気まぐれな人だから無理。 「よ、お疲れ!」 いいところだったのに、トラさんが現れた。 「なんだよ。憲緒じゃねぇし」 「柴田…何してんの?」 「斎藤は黙っとけ。綾、どこから歌う?」 あのうるせートラさんを黙らせる人。斎藤ってトラさんの苗字。トラで通してるこの人をそう呼ぶのって、意味深すぎ。いったい何の弱みがあるのか?知りたい。教えてもらいたい、けど聞けない。 「おー、楽しそーじゃーん」 なにも考えてないリーダーが遅れてのこのことやってきた。 「おい、憲緒!おせーよ!なにしてんだよ!」 年上の憲緒さんにも容赦無し。 「なんだよ、なんか用事?」 「亮伍(りょうご)にチケット買わせるから、くれ」 それは柴田さんお気に入りの友達の名前。よく名前が出てくる。 「あー、それね?受け付けに置いてるけど」 「ったく気が利かねーな!」 「そんな怒るなよ。持ってくるからさー」 柴田さんはいつまで居座るつもりだろうか…。 まぁ、よくあることだし、諦めることも大切だな。
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