手をつなご

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手をつなご

宿題を見てもらってたけど… 途中で綾くんは寝てしまった。 昨日はライブだったとか言ってたけど、またお家に帰ってなかったのかも。図書館のシーンとした空気の中、綾くんはすやすやと眠ってる。赤ペン持って。 なんか、かわいいかも。でも、顔は綺麗なんだよね〜かっこいい。 学校終わったのが遅かったのか、制服のまま来てくれた。無理させちゃったかな。 ペンを持ったまま動かない綾くん。ちょっと辛そうだから、ペン外してあげよう。 向かいの席まで移動して、ペンをゆっくり外す。うーん、なかなか取れない。 「ん、明美?できた?」 「あ、うん」 …って、私ったら綾くんの手を勝手に握ってるし! ぱっと手を放す。けど、綾くんはまた寝た? もう一度チャレンジ。綾くんの手はちょっと華奢だけど、大きいと思う。天人(てんと)くんのは、うーん、どうでもいいや。 ペンが取れた!よし。 また席に戻り、宿題をする。ふふ、綾くん机に寝ちゃってもいいのにね。 宿題を終わらせた後、ぽけっとしていた。 あーライブ行ってみたいなぁ。かっこいいんだろうな、綾くん。どんな格好なのかな?私服なのかな? 歌も聴きたいけど、カラオケは保護者同伴しかだめだしなぁ。 「あ、あれ、俺寝てた?」 やっとお目覚め。 「うん、そう」 「ごめん!教えるって言ったのに」 「いいよ。綾くん疲れてるのにごめんね」 「全然、疲れてないし。大丈夫だよ。あれ、俺ペン落としてた…」 「明美が持ってたのとってあげたよ。だってもしペンが刺さったら痛いもの」 「ご迷惑かけました」 「ううん。もう宿題できたから、お茶でもしよーよ」 「あぁ、うん。…って、俺今日金ないかも!ごめん、ちょっと待って」 綾くんはお財布を探る。 「…うーん、今日は、ちょっと割り勘も辛いから無理…」 「じゃあ、公園行こうよ」 「…ごめんね」 綾くん疲れてる。
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