11人が本棚に入れています
本棚に追加
/158ページ
憲緒さんと話してから、すぐに家に帰った。あーあ、話ばかりで全然練習できなかったじゃないか。
部屋に入ると、優くんがいた。
「よ!おかえりー!今帰りかい?朝帰りとかサイテー」
「そんなんじゃないです」
「寝不足になんないの?」
「なりますけど。バンドしたいから」
「ほーう!偉いぞー」
「どうも」
まだ学校の時間には早いから寝よう。
「綾くんさー、彼女いるでしょ!」
「しつこいですよ!」
「俺さーこの間、ホテルに行くのか?って聞いたじゃん?それでめちゃ慌てたじゃん?俺がいるから寝れないのかと思って聞いたんだけどーなんか違う意味にとってたでしょ?ねぇ?」
この人、ものすごいしゃべるんですけど…。
「いえ」
「うわ、あやし~。いるんでしょ。お兄ちゃんが聞いてやろうじゃねーか」
お兄ちゃんかどうかは謎だけど…眠いから眠らせてほしい。
「綾くん、隠し事だめだよ。家族なんですからね」
「べ、別に隠してないです。おやすみなさい」
「うっわ逃げたーひでぇー」
やっぱり優くんは年上のように感じる。なんか余裕そうだし。いや、適当なのか?
少し寝て、学校に行く頃には優くんは仕事に行っていた。忙しいんだな…。
眠気をこらえて学校へ。
「綾、眠そう」
これはクラスの友達によく言われる。
「眠いよ。だって昨日他のバンド聴かされただけで歌ってないし」
「そういう日もあるんだなぁ」
「もうそんな日あってほしくない」
はぁー。せっかく憲緒さんが新曲作ってくれたのに、まだ歌えてないんだけど。
「綾宿題は?してきてんの?」
「まぁね、店番のときにした」
「綾って要領いいよな~」
そうかな?要領よかったらもっといろいろうまくいくのになぁ。
家に帰ったら、父の妹のいるかおばさんが店番していた。
「ちょっと綾ー交代してよー。私眠いんですけど」
「うん、ちょっと着替えるから」
全くみんなどこ行ってんだよ。そのまま2階へと上がった。
「おかえり、お兄ちゃん」
居間で勉強する妹の真矢。
「なんだ真矢いたの?店番してよ。俺眠…」
「綾くん、ごめんね。私が真矢ちゃんと勉強したいって言ったから」
「…あ、いや、ううん」
来てたんだ。
くっそー。早く父か母、あるいは優くん帰ってこい!仕方ないから、部屋で私服に着替えて店に戻る。
「綾悪いね~。なんかさー真矢ちゃんの友達来てたけどさ、けっこーかわいいよね。お嬢様っぽいってゆーか?」
「そう?」
「さてと、私は寝るね~」
自分勝手なおばさん。父の妹なだけあるな。
あーあ、せっかく明美来てるのに。
俺なにしてんの?暇な店の店番?
時間の無駄なんですけど。
「綾、ただいま帰りました~」
「母さんおかえり。店番してて」
「え、ちょっと綾!今帰って来たとこなんだけど!これ冷蔵庫入れてよ~」
母の真綾は両手に袋を持っていた。
「うん、入れとくからかして。眠いから寝る」
「あら、そうなの?わかったー」
母からスーパーの袋を受け取り、部屋へ戻る。
最初のコメントを投稿しよう!