花田綾

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憲緒さんと話してから、すぐに家に帰った。あーあ、話ばかりで全然練習できなかったじゃないか。 部屋に入ると、優くんがいた。 「よ!おかえりー!今帰りかい?朝帰りとかサイテー」 「そんなんじゃないです」 「寝不足になんないの?」 「なりますけど。バンドしたいから」 「ほーう!偉いぞー」 「どうも」 まだ学校の時間には早いから寝よう。 「綾くんさー、彼女いるでしょ!」 「しつこいですよ!」 「俺さーこの間、ホテルに行くのか?って聞いたじゃん?それでめちゃ慌てたじゃん?俺がいるから寝れないのかと思って聞いたんだけどーなんか違う意味にとってたでしょ?ねぇ?」 この人、ものすごいしゃべるんですけど…。 「いえ」 「うわ、あやし~。いるんでしょ。お兄ちゃんが聞いてやろうじゃねーか」 お兄ちゃんかどうかは謎だけど…眠いから眠らせてほしい。 「綾くん、隠し事だめだよ。家族なんですからね」 「べ、別に隠してないです。おやすみなさい」 「うっわ逃げたーひでぇー」 やっぱり優くんは年上のように感じる。なんか余裕そうだし。いや、適当なのか? 少し寝て、学校に行く頃には優くんは仕事に行っていた。忙しいんだな…。 眠気をこらえて学校へ。 「綾、眠そう」 これはクラスの友達によく言われる。 「眠いよ。だって昨日他のバンド聴かされただけで歌ってないし」 「そういう日もあるんだなぁ」 「もうそんな日あってほしくない」 はぁー。せっかく憲緒さんが新曲作ってくれたのに、まだ歌えてないんだけど。 「綾宿題は?してきてんの?」 「まぁね、店番のときにした」 「綾って要領いいよな~」 そうかな?要領よかったらもっといろいろうまくいくのになぁ。 家に帰ったら、父の妹のいるかおばさんが店番していた。 「ちょっと綾ー交代してよー。私眠いんですけど」 「うん、ちょっと着替えるから」 全くみんなどこ行ってんだよ。そのまま2階へと上がった。 「おかえり、お兄ちゃん」 居間で勉強する妹の真矢(まや)。 「なんだ真矢いたの?店番してよ。俺眠…」 「綾くん、ごめんね。私が真矢ちゃんと勉強したいって言ったから」 「…あ、いや、ううん」 来てたんだ。 くっそー。早く父か母、あるいは優くん帰ってこい!仕方ないから、部屋で私服に着替えて店に戻る。 「綾悪いね~。なんかさー真矢ちゃんの友達来てたけどさ、けっこーかわいいよね。お嬢様っぽいってゆーか?」 「そう?」 「さてと、私は寝るね~」 自分勝手なおばさん。父の妹なだけあるな。 あーあ、せっかく明美(あけみ)来てるのに。 俺なにしてんの?暇な店の店番? 時間の無駄なんですけど。 「綾、ただいま帰りました~」 「母さんおかえり。店番してて」 「え、ちょっと綾!今帰って来たとこなんだけど!これ冷蔵庫入れてよ~」 母の真綾(まあや)は両手に袋を持っていた。 「うん、入れとくからかして。眠いから寝る」 「あら、そうなの?わかったー」 母からスーパーの袋を受け取り、部屋へ戻る。
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