花田綾

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「あれ?お兄ちゃん?なにしてんの?買い物行ったの?」 「冷蔵庫入れてくるから。真矢、お茶は?」 「いるー。冷たいのがいい。明美ちゃんの分もね」 「わかった」 それはもちろん。真矢の分とかなくてもいいんだけど。 「はい、お茶」 「お兄ちゃんありがとう!でも既にやる気消失してるとこー。明美ちゃん、休憩しよーよ」 「うん。そうだね。綾くんも休憩したら?」 「うん」 2人の目の前に座ったけど、真矢が邪魔で邪魔でしょうがない。…だけど、抑えろ。 「お兄ちゃんお菓子は?」 「ないけど」 「えー!?うっそーあったのに!あーいるかおねーちゃーん!」 真矢はおばさんが寝てると思われる、母の部屋に走って行き、ドアを叩いた。 「私のお菓子食べたでしょー!もー!」 「あ、真矢ちゃーん」 のこのことドアを開けて出てきたおばさんは、財布を持っていた。 「お菓子買いにいこうか?なかったみたいだし?」 てへっと笑うおばさん。明らかに、食べた犯人だな。 「…行く。いるかおねーちゃんも来てね。自分の買ったのちゃんと区別したいもんね」 「えーん、真矢ちゃんこわーい」 「ごめん明美ちゃん!お菓子買ってくるから」 「うん、いってらっしゃい」 よ、よし!喚く二人がいなくなった。これで、2人きりじゃないか! 「綾くん、びっくりした?」 「…うん、来てると思わなかったし」 「ねぇ、綾くんは最近眠いの?真矢ちゃんが言ってたよ?」 「あ、それは…さっきのおばさんの夫と部屋一緒で、なんかいろいろうるさくて」 「そうなんだ。その旦那さんとうまくいってないの?」 「いや、…というか、同い年で…」 「へぇ、珍しいね。そうなんだ」 「で、プライベートのことを聞き出そうとすごい必死で…」 「うん」 「えっと…彼女いるんでしょってうるさくて」 「うん」 「で、でも…さぁ」 「うん」 明美…俺に言わせたいの? 「言えないから、言いたくないわけじゃなくて、だよ?」 「うん」 うう、恥ずかしくなる。自分だけ、こんなに動揺してる。 「綾くん、お部屋一緒だし、義兄さんにまで内緒にするのは難しいんじゃない?同い年だしわかってくれるかも」 「そ、そうだよね…」 「私が言ってあげようか?」 「や、自分から言います」 なぜか敬語になってしまった。うわぁ、恥ずかしい。 「綾くん」 「え、なに?」 「また図書館に一緒に行きたいな」 おねだりしてきた。かわいい…。 「うん、もちろん。空いてる日はメールするよ」
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