花田綾

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「たっだいまー!お?」 優くんが帰ってきてしまった。 「おかえり、優くん」 「あれぇ?中学生?かわいーねー?名前は?」 「お邪魔しています、稲賀明美(いながあけみ)です。真矢ちゃんの友達です」 さすが明美。ちゃんと自己紹介してる。偉すぎる。 「ほーう。で、綾くんはなにしてんの?」 「や、普通に勉強を教えてました」 「真矢ちゃんはいねーじゃん?」 「真矢はおばさんと買い物」 「で、君らはいちゃついてたと?」 「な、なに言ってるんですか」 「えー、綾くんなに照れてんの?うけるー」 「義兄さん、」 「ま、待って!俺が言うから!」 「えー?綾くんどしたよ」 「え、えと、あの…明美は、 俺の、彼女でして…」 「うわおー!妹の友達に手を出したのか!やるぅー」 「その言い方辞めて下さい」 「ひぇー!羨ましいんですけど。かわいい子とかまじ羨ましー!」 優くんに若干明美が引いたので… 「このことは真矢には言わないで下さい」 「えー?禁断だから?ぷ!」 だから言うの嫌だったんだよ!わかってもらえないから。 「いえ、真矢ちゃんには仲良しということだけは教えてますけど、その意味に気づいてないみたいです」 「そーなの?あの子はそーゆーの鈍いの?」 「綾くんと一緒で鈍いんです」 「へぇーそうか。んじゃあさー、親父さんたちには知られてんの?」 「なんでわざわざ言わないといけないんですか」 「言っちゃえば楽じゃん?」 「まじで変なこと言うの辞めて下さい」 「ふっ、ごめんよ綾くん。いるかさんには言っていいよね?」 「え、それ1番だめです。うるさいし」 「あーそうだな。言いふらされそう!関係ない人にまでね?」 「ほんと、言わないで下さいよ?」 「あははー綾くんったら真剣なんですけどー!」 この人なんかうっかり言いそう。言ったらどうしてくれようか。なにか秘密を探らないと。 ただいまー!! 下で大きい声がした。買い物に行った二人が帰ってきたみたいだ。ドタドタと階段をかけ上がってきた。 「あれ?優~帰ってたわけ?」 自分の夫に対する態度があまりにもでかい、いるかおばさん。 「そーですとも。かわいい子がいたから話してた!」 「あのねぇ、あんた中学生にナンパとかダメでしょ」 「美人に目がないんでね」 「ごめんね、こいつ変な奴で。迷惑かけちゃったね~」 「いえ」 明美は冷静だ。 俺よりも年下なはずなのに、年上のような振る舞いなのはなんでだろう…。
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