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バンド!
「綾、調子はどーよ?」
「憲緒さん…ばっちりです!」
今はライブハウスの中にあるスタジオで、二人で新曲に歌詞をつけて歌う作業をしている。歌い終わって綾のテンションが上がった。
ボーカルの綾は、大変歌声が素晴らしい。もともと、ここのボーカルが下手で困ってたからチェンジしたところ、他のバンドメンバーのお気に入りになってしまったので、新しく綾を迎えてバンドを作ってしまった。臨時で入っていた俺も無理やりバンドに入らされた。
「綾は英語うまいよな~。英語詞に作詞してくれてサンキュー!かっけー!」
「いや、なんとなく書いただけですから」
「それでさー、芹亞に翻訳してもらったんだよ」
「い?」
「この歌、恋歌的な?だいたいで訳してもらったけど」
「あー、意味は、適当、なんで」
「は?まじ?じゃ雰囲気ってやつだな!」
「そう、それです」
「ほー。それしても、綾は英語うまいよ。俺のダチの尚兎よりも。あいつ知ってるよな?」
「あー、よく憲緒さんの入ってるバンドでボーカル交代するときに出てるロン毛の人?」
「お前もロン毛だけど…ま、そいつだよ。この間お前が下手とか言ってたベースの弟だぞー」
「えーー!じゃああの人もしかしたら歌うまいんですか?」
「ざんねーん!下手ー。かのことカラオケ行くけど下手くそ!似てないわけだ」
「憲緒さんは、似てるんですか?」
「は?かのこなんかに似てねーし!ありえーん!あれ、話なんだったっけ?」
「ええと、憲緒さんのお友達の…?」
「ちげーよ!お前の英語だよ!どこで身につけたんだ?」
「…あぁ、昔は海外を転々としていたので。それで、かもしれないです」
「は?お前んちなんなんだ?外交官?」
「いえ、ただの人です。放浪的な」
「なんだよかっけー!じゃあさー英語以外もいけるわけ?」
「中国語くらいは。英語は歌だと訛りが出ないけど、喋ると訛るんで嫌なんですよね」
「な、なんかわかんねーけどかっけーな!綾!」
「そうですか?」
高3のくせに、なんて落ち着き!俺なんかドタバタしてたぞー!
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