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早川悟流
「早川ー!」
部室に駆け込んで来たのは、中学からの友達の高峰だ。
「なに、どうした」
「珍しく来てるって聞いたから!」
「珍しくて悪かったな」
授業の空き時間とか、バンドのない日とか休みの日とか…都合が合えば行くサークル。
「ねーねー、早川、噂に聞いたんだけど…」
「高峰は噂を信じるのか?」
「うむむ、そうだなぁ。でも真実を突き止めたくてね。ということでー質問するぞー!」
「なに?」
「もしかして、彼女が出来たんじゃないのかーい?」
「は?なんで」
「金髪美女と夜中に歩いてたらしーじゃん?あくまでも噂なんだけどね?」
「それは噂だよ。彼女いないし。金髪美女ってなんだよ」
「いや、こっちが聞きたい!そーゆう噂があるってことは、似たようなことがあったんじゃないの?例えば、道聞かれたとか?」
「金髪の女とは話してないけど」
「なんだよー面白くないなぁ。図鑑でも見るか」
高峰はこの話題に飽きたようで、なかったように振舞った。さして興味なかったのかよ。
あ、思い当たることがあった。
「高峰、もしかしたらそれ男かもしれない。バンドに金髪のやついるし」
「へー。女子みたいな?」
「あー、確かに。あいつ細いし。高峰よりは全然筋肉あるけど」
「がーん。俺のことガリガリって言いたいの?」
「そいつ長髪なんだよ。それでかな?」
「それだー!それ!見間違いだね」
だろうと思った。
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