Red lipstick

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「綺麗だ、ベラ」  そう微笑むとジョンはステージの後片付けのために控え室を出て行った。  私はため息をついた。「この店はベラのお陰で移転できた」と言って贈られた私専用の部屋は、狭いはずなのに一人で居るには広すぎる。  私はパールを指先でもてあそんだ。こんな物を身につけられるようになるなんて一年前は想像もしなかった。  私はジョンに拾われたお陰でここで働くことができた。もしジョンと出会っていなければ私は文字通り最低な日々を送っていたかもしれない。この道を歩んでいなければきっと今頃刑務所にでも居ただろう。  ジョンの横にはいつもマチルダが居た。今だってきっと。  コンコンコン、とドアがノックされた。返事をすると同僚のルビーが入ってきた。 「ベラ、聞いて。さっき彼からメールが来てて。別れようだって。私どうすればいいの」  ルビーの顔は涙とマスカラが混ざってグチャグチャだった。
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