Red lipstick

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 それを未だにお守りにしている時点で私の負けだ。あの人に、マチルダに勝てっこない。  顔を両手で軽く叩くとハンドルを握った。家に帰ろう。  窓ガラス越しに幸せそうな通行人ばかりが目につく。街路樹にはイルミネーションが飾りつけられている。そう言えばもうすぐクリスマスだ。  ノロノロ運転で家に着くと着替えるのも面倒でベッドにダイブした。  なんだか疲れた。  まぶたが重くなる。明日の予定って何だっけ。側にある鞄に手を伸ばした時だった。  ピリリリリ。  私のスマホが鳴った。
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