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5、姉と妹と姉の婚約者(2)
チサトがぐったりしていることを見ればわかる。
グランが何かしたのだ。
「その手を離しなさい、妹は、あなたの所有物では無いわ、帰して頂きます」
そう言えばグランは
「チサト、お前の姉上様はこういっている、お前は……どうしたい?」
そう問われてチサトは瞳を見開いた。
「あぁ、でも、帰るのなら、忘れ物を取りに俺の部屋に戻らなくては行けないな、どうする?」
そう言われてチサトは戸惑った。
部屋に忘れたものなどない、だから、強制的に部屋に戻されかけている事実にユカを見つめると
「お姉様、助けて」
そう言った。
「チサト!」
そう言うとチサトが必死に降りようともがけば
「錯乱しているな、チサト、可哀想に、俺の部屋へ帰ろうか?」
そう言われてチサトが嫌がった。
「いや、あそこへは戻りたくないの、姉様助けて」
そう泣き叫べはチサトを軽く睨みつけ
「この後、どうなってもいいのか? 俺に逆らうな」
そう言われてチサトがピタと黙ると体が震え出せば
「いい子だ、ユカ・アレリアン、後日、謁見の間で正式に意見を聞こうか? それとも、プライベートまで口を出す気か?」
そう言われてユカも黙れば兵士に
「ユカ・アレリアン嬢のお帰りだ、送ってやれ」
そう言うと歩き始めた。
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