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4、姉と妹と姉の婚約者(1)
ゆっくりとチサトは目を覚ました。
体が痛い、あんな辱めを毎回受けなければならないのかと思うと同時に体は熱を持ちまだ、興奮している自身の体を羨ましげに見つめると
「なんで、あんな酷いことを」
そう呟いたが当然答える者はいなくて、扉が開き一人の女性が入ってくると
「チサト、帰るわよ、なんで、こんなことに」
そう言われてチサトはため息を着くと
「お言葉ですが、義姉様、私はもう囚われの身です、勝手に帰れば、陛下である、グランからお叱りを受けます」
そう言うと俯いた。
そう、この女性は自分の義姉のユカなのだ。
権力のある者の言葉でも、皇帝を動かすのは無理なはず、そう思うと
「お願いします、私のことはお忘れください、私はあの屋敷では、厄介者です、だから……」
そこまで言うなり鬱向けばユカはイライラしたように
「グラン! グランはどこ?」
そう叫ぶと歩き出し兵士に詰め寄るとパンと兵士の頬を感情的に叩いた。
驚いた顔をチサトがすると
「見てないで、皇帝、グランを連れてらっしゃい! 私の義妹にこのような事をして、お母様は喜んでも、私は、許しませんよ!」
そう叫べば兵士が頭を下げ
「しかし、ユカ様が、勝手にいらしたのは、陛下も知らぬところ、ここで呼べば、下手したら、皇帝陛下のご機嫌を損ねてしまう可能性も」
そう言われてチサトは慌てて
「ユ、ユカ義姉様、お言葉ですが、私も反対です、陛下の感情を逆撫でするのは良い策とは言えません」
そう言うとユカがため息を着いた。
「なら、アレリアンの後継者として正式に謁見致しましょう、それならば、問題ないはずよね?」
そう言われてチサトは
「出来れば何もしないでください、この後帰れるとは思えないし、それに」
そう言われてユカはチサトの手を取ると
「あなたがこんなになるまで放置していたのは事実よ、ただね、グランの元に下るのだけはおやめなさい、いい噂を聞かないのよ、貴方遊ばれて終わるわよ」
そう言われてチサトは俯いた。
「それは、承知の上です」
そう言うと俯いた。
そう、チサトには、もう、ここしかない、グランは言葉巧みに誘導して
チサトの逃げ道をたったのだ。
だから、チサトには、そもそも、屋敷に帰るという選択肢がこの時は既に無くなっていた。
ユカはチサトを優しく抱きしめると
「帰ってらしゃい、チサト」
そう優しく言われてチサトの頬を撫でようと触れようとしたところで
「おや、俺の物に触るとはな」
声とともに、空気が一変して暖かかった部屋が一瞬で凍りつく。
チサトの体がフッと消えると
「チサト!」
そうユカが叫ぶと
「来客にいらしているのなら、謁見致しましょうよ、ユカ・アレリアン」
そう言われてユカは振り返った。
そこにはグランがぐったりしたユカの義妹、チサトをしっかりとお姫様抱っこしていて
「グラン、貴方ね、私の婚約者でありながら、義妹にちょっかい出すなんて、なんてことを」
そう言うとクスクスとグランは笑うと
「チサトは物でしょ? 未来の夫が、自分の所持物を愛でるのに、貴方の許可がいるなんて話は初めて聞いたが?」
そう問われてユカは唇を噛んだ。
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