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「まだ終わらせるなって言ってるみたいですよ」
愛理がくすくすっと笑う。終わらせるな? 何の話だろうか。
まあいいさ。僕らの物語は、もう少しだけ続く。
来年はどんな年になるだろうか。期待に胸を膨らませた。
だが。
例えば、外を覆う雪が、大地を覆い隠してしまうかのように。
僕は、いや僕たちは、日常に覆われた平穏を、ずっと信じて疑わなかった。
探偵事務所から少し離れの、電信柱の影に潜む黒い影。
「例の探偵事務所で、お嬢様を発見しました」
スマートフォンに告げる、黒いコートの男。
そしてこの波紋が、新妻探偵事務所、最大の危機をもたらすことになるのだが──
それはまた──いずれ語られる、別の話。
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