なんて素敵な人だろう

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その日、町の名士に紹介された相手を見て、僕の心臓は早鐘をうった。 見合いが主なこの時代に、まさかの見合い相手として、とても素敵な、綺麗なお嬢さんと出会えるなんて。 給仕さんがお茶を出してくれたが、喉を通らなかった。自分の親が何を話していたかも、覚えていない。 勿論、見合いは受けた。 結婚式当日。 僕はもう、幸せの絶頂だ。 花嫁姿のあの人は、さぞ素晴らしいだろう。 これからは僕の奥さんだ。いよいよ対面する。 「あれ?」 そこにいたのは、花嫁の姉。だが、こちらが花嫁姿だ。 あちらには例の綺麗な花嫁が、なぜか振り袖姿で座っている。 目の前にいる花嫁姿の女性が、言う。 「相手は私ですよ?」 「お見合いのとき、いた?」 「いましたよ。お茶いれたでしょ?」 ああ、と僕は思った。 「いやあ、あまりにもあっちの娘が綺麗で、他の人は目に入らなかった!」 悪びれなく笑う僕に、本当の花嫁は呆れていたが、僕は最後にこう付け足した。 「まあ、誰でもいいんだけどな!」 フォローになっただろうか? まあ、幸せだったからなんでもいいんだけどな。
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