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奥様達が井戸端会議してる城下町から遥か彼方の前線。
ユウ達は鬱蒼としてる密林を突き進んで行った。
ユウ達は行く手を塞ぐ恐るべき魔物達を倒しながら密林をゆく。
ユウ達は道を塞ぐ亜熱帯の密林特有の木々や蔦等を切り開いて密林をゆく。
その行軍は命懸けであった。
だが、彼等の足は止まる事は無かった。
ただひたすらに、密林を歩いて、歩いて、歩いて、歩いて
ただひたすらに迫る魔物達を倒して、倒して、倒して、倒して
日が暮れる頃には疲労がピークに達していた。
疲労がピークに達した所で彼等は夜営をする。
食事もそこそこに彼等は眠りについた。
始めにユウとサリーが床に着き、ジジイとバカ亭主が見張りをする。
「よく眠ってるな」
バカ亭主がユウとサリーの寝顔を眺めて優しく微笑む。
「そうじゃの」
ジジイは辺りを油断無く見渡しながら答えた。
「なあ、知ってるか?」
「何がじゃ?」
ジジイは首を傾げる。
「この森で起きた事件が切っ掛けで戦争になった事を」
「その話か……誰もが知ってる事じゃろが」
ジジイは呆れた様に言う。
「まっ、そうなんだけどよ……爺さんはどう思う?……本当にあの一件だけで戦争になったと思うか?」
バカ亭主は焚き火に薪を入れながら問い掛けた。
「……さてな……ただ、我々人間もまた奴等を迫害しておる……それまでの鬱憤が吹き出たのやも知れんな」
ジジイは欠伸をして答えた。
「それなんだけどよ……ここ百年はずっと互いに不干渉だったじゃねーか……ずっと争ってたんなら兎も角、百年も間が空いてたら……」
「奴等は儂等より長く生きる」
ジジイがバカ亭主の言葉を遮る。
「儂等には長い年数でも、奴等にとっては昨日今日の話し……儂等とは恨み辛みの歴史が違う」
ジジイは天を仰ぐ。
「いや、言いたい事は解るが……でもよ、そんなのでガキを巻き込むのはおかしいだろ」
バカ亭主はユウとサリーの寝顔を見て呟いた。
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