……玲瓏院の一族……

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「いらっしゃいませ」  僕が扉を開けると、高校生くらいの少年が、微笑してこちらを見た。 「cafeですか? マッサージですか?」 「マッサージをお願いしたいんですが……」  少年の言葉に、僕がそう返した時、スッと正面に誰かが立つ気配がした。 「承ります」  答えた青年は、非常に柔和そうな笑顔で、僕を見ている。物腰も穏やかに、僕に紙を示した。予約名簿とでもいうのか、名前を書く欄がある。僕の他には客の気配は無かったが、僕は静かに記入した。  名札に『ローラ』とある青年に促され、その後マッサージ用のスペースへと向かう。  そして、僕は衝撃を受けた。  ――え、なにこれ下手すぎだろ……。  あ、あ、あんまりにも、そ、その、ローラという青年のマッサージは、下手くそだったのだ。普段、マッサージになんか行かない僕にも、それがよく分かる。一切、気持ち良くない。  手の力は強いし、激痛が走る。かと思えば、本当に解して欲しい肩などは、力が弱すぎて効果が感じられない。  これでは、藍円寺には近いが、享夜さんがこの店の常連になる事も無いだろう。  そう考えながら、僕は苦痛に耐えた。  だが――……。 「終了です」  そう言って青年が、僕の体を一度、パシンと叩いた瞬間、急に僕の全身が軽くなった。  何が起こったのか不明なくらい、全身が爽快だ。  これは、すごい! 僕は内心で、歓喜した。 「またのお越しをお待ち致しております」  こうして、清々しい気分で、僕は店を後にした。やはり、気分転換には最高だったらしい。  全身が軽くなったせいなのか、僕は明るい気分になり、家へと帰る事にした。
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