……ブラックベリーの霊能学……

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 見れば、その手が震えている……全身を硬直させている藍円寺は、よく見ると、肉食獣のような俺様風の外見に反して、どこか涙ぐんでいた。 「い、行くぞ、紬」 「はぁ。立ち止まったのは、享夜さんじゃ?」 「いいから! 早く来い」  その後、走るに近い早足で、藍円寺が歩き出した。  紬も追いかけていく。  それを見送り、火朽は腕を組んだ。 「ローラが気にいるだけはあって、藍円寺という人間には、僕の正体が分かったようですが……まぁ、問題はないでしょう。何か問題が起きれば、ローラが暗示をかけてくれるでしょうし」  火朽にとっての問題は、紬の方だった。  紬はいつも通り火朽を無視しているだけだったわけであるが、動揺も恐怖も何も感じ取れなかった。ただの無関心。そんな表情をしていた紬を見ると、火朽は気が重くなる。 「人間でないから嫌われている、のであれば、まだ対処のしようもあるのでしょうが」  どうやらそうではないらしいから、難題だったのである。
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