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なぜ?
わたしは心地良い空間で夢心地だったのに何だか息苦しくなって来たの。
それに暑くって汗びっしょりで気持ち悪くって喉も乾いて...
もういい加減、我慢出来ないと思ったの。
だからこのカンガルーの袋から出ようともがいたけど...
どうしてもダメなの。
そしたら男性の声が聞こえて来た。
何て言ってるのか聞こえなかったけど言い争ってる様にも聞こえたわ。
そのうちドアが開くような音がして女性の声で、
「サララさん...?大丈夫ですか?」
って聞こえたけどサララさんって誰?!
わたしは黙ってこの場はやり過ごそうって思ったの。
そしたら強引に袋から顔を出されて眩しくって目が開けられなかった。
でも新鮮な冷えた空気がたまらなく気持ち良くて思わず
”パフ~”
って言っちゃった。テヘヘ...
白い服を着た女性と男性がわたしを抱えて台の上に寝かせてくれたけど空にはヘリコプターがいくつも飛んでいるのが見えたわ。
何か色んな物がぶら下がった救急車に入れられ男性がわたしの袋を破り始めた。
「いやっ...やめて..」
って言ったつもりだったけど喉がカラカラで言葉が出なかったのよ。
だから...
「お水...ちょうだい...」
って言ったの。
気を抜いてたらイキナリ口の中に水を入れられて喉に詰まって凄く咳き込んじゃって殺されると思ったから、
「殺さないで!」って叫んじゃった。
「もう大丈夫ですよ~」
って優しそうに男性が言ったけど、
袋の中の方が安全だった...
って思ったわ。
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