2.居残りと匂い

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高校生活にも少しずつ慣れてきた5月の中旬。 「いいか、このクラスに一人だけ今回の小テスト落ちたヤツがいる。なのでその生徒は放課後居残りをしてください。強制です。」 そう言ってにっこり笑う関本先生はきっとかなりご乱心。 1時間目の英語からなんという爆弾発言を…。 「うっわー、鬼だな〜、いつもなら居残りさせないのに。ねぇ、まさか美桜なわけないよね、?」 えっちゃんは小声で私に話しかける。 「えっちゃん、どうしよ…。」 そう、今日居残りしなければいけないのは私一人。 どんなに頑張っても英語苦手なんだよね〜。 と心の中で言い訳をしても許されるわけないのだが。 チラッと関本先生の方を見ると、バッチリ目が合ってしまった。 すると先生はさらに笑顔で、 「ば ー か」 と口パクで言ってきた。 自分の顔が紅潮していくのが分かり、私は授業が終わるまで教科書で顔を隠していた。
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