2.居残りと匂い

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ソファに座ると二人きりなのだと実感し、改めて緊張してきた。 「で、どこが分からないの?」 戸惑いなく隣に座る関本先生に大人の余裕を感じ、少しだけ不満に感じる。 こっちは緊張してるのに…。 まぁ先生だから生徒になんか何も思わないか…。 「あ、えっと、ここの文法がいまいちわからなくて…。」 私は少しだけ震えた手でプリントをめくった。 「ここね、シャーペン貸してもらえる?」 「は、はい!どうぞ!」 手を差し出す先生に、一番お気に入りの桜色のシャーペンを渡した。 「ありがとう。ここは、関係代名詞の文を作るから、whoかwhichなんだけど………。」 先生の説明はわかりやすいはずなのに、心臓の音が邪魔をして頭に入ってこない。 「それで、この場合はまたさっきと違って所有格になるんだ……って神崎ちゃんと理解できてる?」 「え、も、もちろん!大丈夫で、す、。」
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