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出来うる限りの全速力で逃げた俺は、逃げ切れたとまではいかないが距離を離すことができたので教室内に逃げ込み教卓の下へ身を潜めるようにして隠れた。
普段の運動不足が露わになったかなかなか呼吸が整わない。廊下からバタバタと走る足音と、「どっちに行った?」「こっちだ!」っというような声が聞こえる。幸いなことにここの教室内に入ったとは思われなかったようで何処かへ走り去ってくれた。
暫くここでじっとしていようと思い狭い教卓の下に縮こまっていると、ガラガラッと後ろの方で扉が開く音がした。咄嗟に手で口を押さえて物音を立てまいと1ミリも動かないようにと固まる。
が、しかし
ここで問題発生だ。俺の呼吸がまだ整っていないということだ。咄嗟に口元を押さえたことにより鼻呼吸になり苦しいこと極まりない。
恐らくその所為で人の気配を感じたのだろう。足音が近づいてくる。近づいてくる人物が黄色い腕章を付けていてくれとどれだけ願ったことか…。
教卓前で足音が止まったと思ったら上から中を覗き込まれ…、って、あれ。
「あ”?お前こんなとこでなにしてんの」
「な、んだよ、愁か…。びびらせるなよ。」
近づいてきていたのは見慣れたルームメイト、愁だった。だがよく見ると愁は青い腕章を付けている。昨日は俺が疲れていて速攻寝たからチームを聞きそびれていたんだよな。
「おい、愁青チームなのかよ。俺のこと捕まえにきたのか。」
取られまいとギュッと自分の腕章を掴む。
「興味ねえよ。終わるまでここで寝ようかと思っただけだ。まあ校内もドタバタとうるせえから屋上にしとくわ。」
と言い捨てて一人で屋上へ向かって行く。その背中を見ながらうむむと考えあることを思いつく。こいつが俺を捕まえる気がないなら一緒に屋上へ行こう。赤チームが来ても俺は捕まえなきゃいいしなんなら愁を身代わりに差し出せる。←え
青チームが来たらこいつを盾にするかもしくは愁に捕まえてもらえばいい。捕まるなら愁の方がマシだ。
そうと決まれば。
「俺も屋上行く。」
と後を追いかけた。
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