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屋上から校舎内に戻った俺は、見回りも兼ねて今は廊下を歩いているところだ。
幸い遭遇したといえば同じ黄チームの生徒だ。俺より少し背の低そうな小柄な青年で俺を見るなり何やらソワソワして「ぼ、僕頑張りますね!」と意気込んでいたので「ええ。お互い頑張りましょうね」と微笑みながら述べるとなぜか顔を赤らめて走り去っていってしまった…。
俺何か変なこと言った?
もう暫くしたら校庭の方で逃げようかと思い見回りを続けると、
「ゃ……て………、っ…め……」
どこかの教室から微かだが声が聞こえる。嫌な予感がするが場所が分からないことには会長らに伝えようがない。探すように歩みを進めると、
「や、め…やめてっ…!」
ここだ。中から聞こえる切羽詰まった声色にこれはまずいと思いガラッとその教室の扉を開けた。中にいたのは小柄な生徒一人と背の高めな男が三人。小柄な生徒は二人の生徒に押さえられジャージの上を捲られている状態だ。
「何をしているんです?」
「なっ…!ふ、副会長…!?」
「何をしているのかと聞いているのですが?同意のようには見えませんが。」
涙目になっている生徒に目をやる。……あれ?
「貴方は先程廊下で会った、っ!?」
その生徒に気を取られている瞬間一人の男に両手を後ろに回され拘束された。咄嗟に逃れようと暴れるも力が強い。モタモタしているうちにそいつはもう一人を呼び二人で押さえつけてきた。
「間近で見る副会長の破壊力やべえ…ちょーっとだけ血吸わせてくれるか身体触らせてくれるだけでいいからさぁ。な?」
ニヤニヤしながら首筋に顔を近づけてくる男。鼻息が当たって気持ち悪い。視界の端では一人の男に押さえられた生徒が心配そうにこちらを見ている。ここで俺までテンパるとその子まで焦ってしまうだろう…。
今だけ耐えろと自分に言い聞かせぎゅっと目を瞑る。
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