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ガラッッ
「ぃ”っ……」
首筋に痛みが走ったのとドアの開く音はほぼ同時だった。
「おい。まったく…誰か到着するまで待てなかったのか?生徒会のやつはせっかちだな」
あれ?この声聞き覚えが……
扉の方に目をやるとそこにいたのは風紀委員長だった。それと他にも後ろに数人いるようだ。
風紀委員長だと分かった瞬間俺を押さえていた男たちはすぐに退き、青ざめた顔をしていた。
「葵、事情聴取しとけ。こいつは俺がどうにかしとく。」
‘こいつ’ とは俺のことらしく頭をぐわんぐわんと回された。
委員長の後ろから出てきた長髪の綺麗な男性、副委員長の神代先輩は「はい。」と一言だけ返事をすると他の風紀の生徒と共に被害者の青年と三人の男たちを連れて部屋から出て行った。
ちなみに先週の委員長との一件があってから風紀委員の名前と顔も一致させて覚えた。
「…あまり無茶をするな。なんで一人で中へ入った?お前はここで自分がどう見られてるのか自覚しているのか?」
なにも考えなしに中へ入ったわけではない。生徒会、風紀は特別な腕章を着けており、SOSボタンが付いている。自分や周りで何か問題が起きた時はそのボタンを押すとGPSがオンになり近くに居たものは応援に駆けつけるというふうになっている。
俺ももちろんそのボタンを押してから入った。まあちょっと想定外な感じにはなったが…。
「声からして既に危険だと判断し先に飛び込ませていただきました。」
「はあ、まったくお前は昔から…心配させるなよ。」
「え?今、昔って…」
まるで昔から俺を知っているような口振りに頭にはてなを浮かべていた俺は委員長が近付いてきていたことに気づかなかった。そのまま顔を首筋に寄せられると先程の男の牙が少し当たって流れていた血をぺろっと舐め取られた。
「はっ…!?ちょ、なに「これでも貼っとけ。」」
俺の抗議を遮られ首に絆創膏を付けられた。そして何か思い出したように ’ああ、あと’ と話し始めると俺の腕章に手をかけするりと抜き去る。
「これは貰ってくから。さっさと体育館行くか。」
…委員長は青チームだったらしい。
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