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The first time
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「うっわー。本当に園村の家に来てるんだ!」
と紘介が嬉しさを堪えきれず話し出す。
「まぁ、しばらくいないみたいだけどな。」
「新、そう冷めること言うなってー。」
と一人で落ち込んでいる。
俺らはあの後、久保田さんから色々情報を聞いた上で作戦立てた。…と言っても作戦という程の物は結局出来上がらず、真正面から行くことにした。
「やっぱり外から見てもカーテンは閉まりきってるし、郵便受けにもチラシなどでいっぱいだし、長いことここには居ないみたいだな。」
「久保田さんもここ数ヶ月くらい見てないって言ってたけど、ベンチ登録はされてるし、試合会場にも来てる。どこにいるんだろう?」
と紘介が素直な疑問を持つ。
「おそらくクラブハウスかホテルだろうな。」
と新が言うが、
「じゃあ、なんでその借金取りの奴らはここにばっかり来るんだろう?」
と紘介は言うが誰も答えは出せずまま黙り込む。
「とりあえず、久保田さんにここのオートロック開けてもらおう。」
と言って、紘介が久保田さんの部屋番号を押そうとして、そこで初めて気付く。
「誰が開けてるんだ?」
「え?隆二、何言ってんの。今久保田さんに開けてもらうんじゃん。」
「違う。その柄の悪い奴らはドアを直接ノックしてるんだろ?じゃあ、ここのオートロックは誰が開けてるんだ?」
「確かに。誰かが開けるかちょうど開いたタイミングで入っていくかだけど、それだと今も怪しんでる管理人に止められるだろうな。」
と言って、新は後ろにさりげなく目線を送る。
ここで何分もウロウロしてたら怪しまれて当然だ。
「作戦変更だ。まずは、久保田さんと会おう。」
と言って、久保田さんの部屋番号を押して呼び出す。
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