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お茶を飲んで久保田さんと一緒に管理人室に向かう。久保田さんは、管理人さんとしか呼んだことないらしく、正確な名前すら知らなかった。でも、今の世の中そんなもんなのかもしれない。管理人室をノックすると、少ししてさっき俺らを怪しんでいた初老男性が出てくる。すぐに俺らの顔を見て、また怪しむような目つきをしながら、
「えー。402号室の久保田さんところのお嬢さんだったよね。何か用かい?」
「あのっ。その…。防犯カメラの映像を見せて頂きたくて…。」
と久保田さんは前置きも説明できず言ってしまう。紘介が勢いよく口を挟もうとするが、またややこしくなりそうなので、俺から管理人にDCのことは省いて、久保田さんの友達として説明する。
「なるほど。よく分かったが、それはできない。」
「え?何で?」
と紘介がすぐに反応する。
「まず、第一に部外者のしかも、学生なんぞに見せられるものではないこと。」
「それなら、俺らは一旦外に出ますので、久保田さんに見せてください。」
と新が丁寧に伝えるが、
「第二に細かいことは教えられないが、一定の期間で上書き録画されてるから、目当ての日のデータはないかもしれないこと。」
「久保田さん。最近聞こえた日はいつ?」
と俺が慌てて聞くと、
「えっと…。確か4日前だったかな。」
「4日前のももうないですか?」
「ただのマンションの防犯カメラが一ヶ月も記録を残してると思うか?答えないことがその答えだと思ってくれ。」
それを聞いて、あからさまに紘介が落ち込む。
「そして最後に、少なくとも誰かが出て行く際に紛れ込んで入るなど、そんなこと私がここにいる限り許さない。もういいかい。こっちにも仕事があるんでね。」
新が少し言い返そうとするが、
「お仕事のお邪魔をしてしまい申し訳ございません。もし、次その迷惑行為を働く人が来た際には、久保田さんにだけでも映像を見させて頂けないでしょうか?」
と極力丁寧に頼んだつもりだが、
「その映像を見て、仮にマンション内の住人に協力者がいるとして、部屋番号を見たいということだろ。個人情報でもあるし、それはできない。以上だ。」
と言って、管理人室に戻って行く。
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