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「このままでは、決め手も協力を得られる手立てもない。まずは、さっき頼んだ久保田さんとお母さんが管理人さんには話して欲しい。」
と伝えると、久保田さんは頷く。
「そして、もしその人達が来たら連絡を貰う。これが今できる最善の手なんだ。」
「最善じゃない手もあるんだろ?」
と新が先を促す。すかさず清水さんも
「何かあるの?できることならするわよ!」
と久保田さんと手を取り合って頷いている。
「じゃあ、聞くだけ聞いてくれ。まず一つは、俺らが独自でカメラなどを仕掛けて出入りしている様子を撮影する。」
「それはあの管理人がまず許さないだろうし、いつくるかもわからない相手にまわし続けるのは難しいな。」
と新が的確に指摘する。
「あぁ。その通りだ。次にその人達が来たら、ノックしている姿を撮影する。そうすれば、管理人だけじゃなく、警察にも有効な手になるが…。」
「だけど、どうしたの?その案いいじゃない!」
と清水さんが乗ってくる。
「いや、致命的な部分があるよな。隆二。」
と新が俺に先を促す。
「何よ。致命的な部分って。隠さないでよ。」
「撮影者は必然的に久保田さんもしくは久保田さんのお母さんがやることになるからだ。」
と言うと、久保田さんは分かっていたのか俯いたままだった。清水さんも顔に手を覆ってそれ以上何も言わなかった。
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