The beginning of the tragedy

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 三番ゲートに行くと、係員の人が待っていた。俺らは興奮を隠しきれず早歩きでその係員の元へと向かう。すると、最初に入場した時に整理券渡してくれた女性だった。その女性が丁寧に説明をしてくれて、早速案内してくれることになる。しかしすぐに疑問が浮かぶ。 「他の方々はいないのですか?」 「整理券によって時間帯をずらしているのです。その為、この時間は皆様のみになります。」 と言われる。そこに紘介が 「なにそれ?めっちゃラッキーじゃん。」 「試合直前ではありますので、短い時間ではありますがお楽しみ下さい!」 と言われ、関係者入り口というドアを通る。その時、会場が歓声に包まれる。どうやら、スタメン発表が始まったようだ。 「いよいよだな。」 と新が呟く。もちろん試合自体も楽しみだが、このロッカールームまで向かう道のりが楽しみで仕方ない。さすがというべきか一応遠慮はできるのかいつもよりは小さな声で、紘介は目につくものを全て呟いている。 「お、医務室。奥はトレーナー室だってよ。もしかしたら、今も調整してるんじゃないの?あ、トイレじゃん。意外にここが一番出会えるんじゃ…。」 「そこの角を曲がった先が、横浜マリノスのロッカールームになります。」 と係の女性がアナウンスする。そして、前を譲るように道を開ける。 「ここからは、自由にご覧になってください。時間は15分なので、時間になりましたらお知らせさせて頂きます。」 「え、そんな緩くていいんですか?」 と新が驚いて聞き返す。 「はい。お楽しみ下さい。」 と簡単に答えるのみ。俺も少し違和感は感じるが、紘介が 「いいって言うんだから行こうぜ。時間ももったいないしさ。」 と俺ら二人を急かす。紘介のいうことも一理あるため歩みを進める。角を曲がり、数メートル先に「ロッカールーム」と書かれた部屋を見つける。
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