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結局、紘介は医務室から医者と近くにいた警備員に報告して警察の通報まで行ってくれていた。しかも、さすがに紘介も気が回っていたようで警察には静かに駆けつけるよう言っておいたらしい。そのおかげで刑事や鑑識がきちんと駆けつけたが周りが気づくような形にはなっていない。少なくとも、何も知らない一般ファンに関してはとういところだが…。
その中で俺らの応対をしてくれたのが橘という刑事だった。30代前半くらいで強面ではないが威圧感を持つ雰囲気の刑事だった。そこで、ここまでの経緯と俺らの考えを伝える。パニックによる二次災害、公表しないことでの次の被害者、この場に凶器と思われるものがない中での首筋一閃の手口など。橘刑事も邪険に扱うわけではなく、最後までしっかり聞いてくれる。
「それにしてもしっかりしてるな。君らがサイレンとか鳴らさずに来るよう頼んだのか。」
「そうです!」
と紘介が嬉しそうに答える。
「だが気になる点がいくつかある。まずはその係員の女性の特徴について聞きたい。」
「20代後半から30代くらいで黒髪でセミロング。眼鏡をかけていて、すらっとした痩せ型の女性です。」
と新が的確に答える。
「なるほど。顔見たら分かるか?」
「はい。」
と3人それぞれで答える。
「それなら、ここのスタッフだったら簡単に調べられるだろうが…。ここに案内して消えたと。」
「そうです。」
「まぁ、スタッフの可能性は低いだろうな。」
「そいつが犯人。もしくは共犯者ってことですよね?」
と俺が聞く。橘刑事が頭を掻きながら、
「単純に言えばそうなるだろうな。」
と言ったところで、一人の刑事が橘刑事に耳打ちをする。
「よし、ここの責任者が来たみたいだ。少し話を聞いてくるから、君たちはここで待っていてくれ。必要ならまた話を聞く。」
と言ってすぐさま離れていってしまう。
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