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橘刑事があっけらかんと言うのを見て、それを聞いて少し後ろにいた若い刑事があり得ないと言う表情で見ているが、意に介さない様子で首を振っている。
「協力というのは?」
と俺が聞くと、
「一緒に捜査の手助けをしてもらうってことだ。君たちの力を見せてもらおうと思って。」
と答える。そこに紘介が、
「いいんですか?やります!」
と即答する。しかし、新もいきなりのことで尻込みしたのか
「それはいいんですか…?」
と聞いている。
「構わない。邪魔になると思ったらすぐいなくなってもらうが今のところは重要な手がかりでもある。あとは危険が及ぶようなことがなければだな。よろしく頼むよ。」
と言われ、こちらとしては断る理由はない。「こちらこそよろしくお願いします。」
と3人で頭を下げる。大きな事件としては2例目になるが、殺人事件となると規模が違う。自然と肩に力が入っていく。しかし、貴重な経験になると思い、思い切って尋ねる。
「捜査本部として、試合はそのままで客には知らせず捜査するんですか?」
「そのつもりだ。知らせれば必ず混乱を生む。これだけの大勢の目がある中で第2の被害者が生まれることは低いと判断した。だが、ここに今凶器が残ってないことから、急ぎ退場時にチェックをできる態勢を整えてるところだ。」
「じゃあ、もう既に又はそれが整う前に会場を後にしていたら…。」
と新が呟く。
「そうだな。確実にこちらが後手に回ることになる。」
何も言えず黙り込む。
「選手達には何て説明を?」
と紘介が聞く。
「体調不良で休ませてることを伝えてもらってる。」
とそれを聞いて頷く。
「まずは、君たちの情報を元に捜査を進める。この周辺の聞き込みとその女性については、重点的に行うからな。」
そして、若い刑事が何かコソコソと伝えてまた去っていく。
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