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ここに来た理由は分からない。
ただ、ここで私がなにもしなかったら、ゲームでいう"ゲームオーバー"になる気がする。
ただの直感だ。
「なんとかって……」
「なんとかするよ。できる。絶対出来る」
こんな根拠もない私の答えに、玲美は少しきょとんとした顔を浮かべる。
逆の立場だったら、私でもそうなる。
「ねぇ玲美。私がここにいる理由。ここに来た理由。それは何故だか分かる?」
「……えっ?」
私はただ店の前で気絶して倒れていた──だけじゃないんだ。
ここに来たのは必然なんだ。
助けるんだ。大好きな魔法少女になって。
なんでも盗賊は、ここから2キロ歩いた山奥に縄張りを張っているらしい。
とてもじゃないが、皆怯えて奪われた物を取り返しには行かないそうだ。
「それじゃ、行ってくるね」
「え、止め──」
「だって私、魔法少女だから」
不安そうな玲美に、得意気な笑顔で返した。
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